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2014-07-27(Sun)

とある8月の出来事

俺屍2の妄想小話を投下します。

・夜鳥子さん本人のことは、鍋さえ移さなければまあ許容できると思っています。今のところ。
・でも俺屍2の神連中はかなりひどいと正直思っています。嘘だと言ってほしい。
・何がひどいって、神は一族を対等な相手と見られないまでも、子ども(やその親)にはなにがしかの愛着を持ってくれるようになるといいなあ、という妄想の余地がかなりなくなってしまったのが辛いです。
・1一族=2一族という設定を能動的に飲み込むための妄想を書きました。
・コーちんの埋めたという地雷は全力回避したいです。3番目の祭具ゲットして夜鳥子さん(1)と当主が相次いでなくなり人手が減った後、コーちんの提案メニューに休養が出てきたのは罠だと思う。
・メタなネタを混ぜ込んでいます。1一族引き継ぎ関連で。
・2で数少ないいいところは、自分のなかで黄川人の評価が大きく変わったことです。

以上を踏まえて、妄想ばっちこーい!な方だけ、追記からどうぞ。


######

「乙女…いや、今ははづきか」
当主の部屋に入ってきた痩身の女に、部屋の主は、手元の書簡に目を通したまま答えた。
「どっちでもいいよ、夜鳥子さん」
「うむ」
夜鳥子は、短く声を出したきり、黙っている。

ひと呼吸おいて、六代目星丘はづきこと、乙女は書簡を片付け、部屋の入口に向き直った。

「えーと、久しぶり、夜鳥子さん。体の具合はどう?」
そう言って、棒立ちになっている夜鳥子に座るよう身振りする。
夜鳥子はそれにおとなしく従い、言った。
「動きのキレ自体は戻ってきたが、体術や術式などはかなり忘れておるようだ。そのあたりは覚え直さぬと実戦で足手まといになるだろうの」
乙女はうなずいた。
「ふーん、そうなんだ。じゃ、しばらくは訓練しないとね。記憶のほうは?」
夜鳥子は、硬い表情で答える。
「先だってまでこの家にいて体験したことは、あらかた覚えておるようだ」
「…百鬼祭りのときのことも?」
「うむ」

向き合ったまま、微妙な沈黙が流れる。

「…そっか」
乙女が、安心したのだか落胆したのだかよく分からないため息をついた。

「……儂は当分、ここに呼ばれないものだと思っていた」
「なんで?」
「儂はお前達にとって、敵も同然なのではないか? なぜなら儂はあれを生んだのだから」
「…そうね」

言って、乙女はすっかり冷めた茶を一口含んだ。

「そりゃあね。私たちのご先祖が殺され、呪いまでかけられて、短い人生を戦いに追われるようになってしまったのはあいつのせいよね。…でも、だからってあなたをどうにかしたところですべてが元通りになるわけじゃないもの。
 あたし、当主を継いで、これからどうしたらいいか考えた。あたしにできそうなことは、未来のあたしたちの子孫がまた、普通の人生を取り戻すために、できることをなんでも全力ですることだと考えた。
 だからあたし、あなたをまた呼ぶことにしたの」

そして、文机に置いていた書簡のひとつを取り出す。
「これはコーちんが書いてくれた今の天界の序列。ほら、これがあなたの序列。分かるかしら、こないだ書き換わったのよ」
見ると「鬼切り夜鳥子」の序列が少々上がっているのが分かる。
「最初に夜鳥子さんが転生した直後も、序列は上がっているの。つまり、あなたはこの家に転生を繰り返すたび、より強くなるんじゃないかってこと。
 あいつがあなたが来ることを求めている以上、あなたにはちゃんと戦力になってもらわないと困るの。第四の祭りに行けるようあたしの子孫が力をつけるまであなたを放っておいては、いざというときに役に立たないかもしれないもの。そういうことよ」
「そうか…」
書簡に目を落としたまま、夜鳥子はつぶやいた。

乙女は、ちょっと自嘲気味な笑みを浮かべた。
「まあ今のあなたが生きている間はおそらく、次の祭りにはたどり着けないと思うんだけどね」
そして、またお茶を口に含む。
「三ヶ月前、双魚が討伐中に倒されたのよ。根の子参りで鬼神を倒した場所の奥にちょっと行ったところで、化け猫大将の組にね。百鬼祭りはどう考えてもそこよりずっと奥にあるのに、今の戦力ではまるで歯が立たないの。だから、今できることは、一族の血筋をより強くすることだけ。次の世代、また次の世代に預けるしかないのよ」
「だから、本当はまだあなたを呼ぶべきではなかったのかもしれない。それでも呼ぶことを決めたのは、あたしの個人的なわがままなのかもね」

「わが…まま?」
夜鳥子は首をかしげる。
「あたし、もう一度あなたに会いたかった。言いたかったことがあるの」
乙女は、まっすぐ夜鳥子を見た。
「夜鳥子さん、ひとつだけお願いがあるの。あなたがあいつの生みの親だっていうなら、いつかちゃんと、あいつのことを思い出してあげて。だって自分の親に忘れられるなんて、子どもとしてこんなに哀しいことないもの。あたしだって、親神さまがあたしのことなんかどうでもいい、忘れた、なんてなったらとても辛く、恨めしくなると思うもの。だから…ね?」

夜鳥子は、瞑目し、しばらく黙り込んでいた。
そして、目を開き、言った。
「うむ。儂も、そうせねばならぬと思う」
乙女は安心したように笑んだ。そして湯飲みに手を伸ばし、今更ながらに気がついた。
「あらいやだ。夜鳥子さんのお茶がないじゃない。あたしったら気が利かないわね。コーちーん!」

「あいあい。何ですか、当主さま」
獣の耳の付いた少女がぱたぱたとやってくる。
「コーちん、ごめんだけど夜鳥子さんにお茶かなにか用意してくれる?」
コーちんという風変わりな名前で呼ばれる少女は答えた。
「はーい。あそうそう当主さま、傭兵の人がさっき来たよ。当主さまの所に案内しようとしたら先にずんずん入って行かれて…あ!」

そのとき障子の後ろから、ひとりの戦士が現れた。
「こんにちは。いや、はじめまして、かな? 私は寄波。あなたたちを助けるよう昼子さんから言われて、やってきたの。早い話がただの先祖帰省…ってやつかも? ふふ、ひとつよろしく! ま、討伐に入れてもらえばちょっとくらいは役に立つよう頑張るからね」

乙女は、目をぱちぱちさせた。
「えーと…確かに今月は傭兵を雇えるという話だったから試しに呼んでみたけど…ご先祖さま!?」
うん、とうなずく戦士。
「私と一緒に大阪橋家の氏神も何柱かよこされているはずよ」
慌てて、乙女は天界の序列表を見る。夜鳥子も、たぶん何となくだろうが、一緒にそれを見た。

「あ…ホントだ。いつの間にか知らない神様がいる」
「私は今月限りの傭兵だけど、氏神は当分こっちの天界にいるから、用があれば呼んでやって。でさ、こっちじゃ黄川人がずいぶんイイコになってるって? ぜひ会ってみたいわあ」
「黄川人? あの人なら討伐に行けば結構よく会うけど、お知り合いなんですか?」

寄波は、にやっと笑った。
「あいつとは昔、命がけで殴り合った仲でね。昔はそりゃあもう、どうしようもない復讐鬼だったのよ。それこそいっぺん死ななきゃ直らない位ひどかったわねー! でもこっちではずいぶん丸くなったと聞いたから、同じく拳を交わした仲の昼子さんにちょっと頼んで、見に来たの」
そばで聞いていたコーちんが、「黄川人様が…えー…」と目を白黒させている。

乙女がそれに気がつき「コーちん、どしたの?」と声をかけると、はっと我に返り「あ、夜鳥子様のお茶っすね、ただいま~」と、厨に飛んでいった。

三人になったところで、寄波が乙女に声をかけた。
「聞かせてもらったわよ。あなた、なかなか立派な当主じゃない。呪いの元凶を味方に引き入れちゃうなんて、既に私たち以上の境地に入っているわよ」
乙女が、何とも言えない表情になった。
「ずいぶん前から立ち聞きしていたんですね」
寄波はふふふと笑った。
「まあそこはご先祖だからねー。ご先祖はたとえ実体化してなくても、いつだって子孫のそばにいるものよ」

そして顔を引き締め、言った。
「あなたも分かっていると思うけれど、私たちは確かに命が短い。それこそ神様連中にしてみればあくびをひとつするより短い間に生まれて死んでしまうくらい。でも、だからってその命は決して軽くない。むしろ、寿命のない神様よりも、普通に何十年と生きられる人よりも、ずっとずっと、重いと私は思う。
 だって私たちは、呪いに倒れた先祖みんなの命と思いを受け継いでいるのだから。ひとりの背中に、親や祖父母やその親、みーんなの思いが乗っかっているの。
 その重みが辛いときだってないわけじゃない。でもその重みが、私たちに生きる価値と力を与えてくれるのよ、きっと。だから、大丈夫。ね?」

「…………」
「…乙女? おぬし、泣いておるのか」
乙女は、慌てて顔をぬぐった。
「いや…そんなこと、今まで誰にも言われたことなくて、つい」
照れ笑いを浮かべる。
「えと…何というか、来てくれてありがとう、寄波さん。何かちょっと、勇気が湧いてきました」

そう、と微笑んでから、寄波は夜鳥子に言った。
「そんなわけで、短命の一族だって舐めてもらっちゃ困るわよ。この子たちを裏切るなら、相当の代償があると思ってちょうだい」
夜鳥子は相変わらずの固い表情で言った。
「もとより、裏切るなど考えてはおらぬ。儂は儂に求められていることをするのみだ」
寄波はまたにやりと笑んだ。
「そうね。まずは訓練だったかしら? せいぜい戦力になってちょうだい」

乙女が、ふと声をかけた。
「あのー…失礼ですが、寄波さんて、女の人、なんですか?」
寄波はちょっと眉を上げ、ああ、と苦笑した。
「女よ。やっぱ男に見える? …昼子さんたら、私たちをこっちによこすときになんかちょっと間違えちゃったみたいでね。あーあ、これじゃ男女反転の呪いだわもう。まあ過去に戻れば直るらしいけど」


おしまい。


######
補足(ていうか蛇足?)
・大阪橋家(裏親玉打倒済み)データを引き継ぎで導入しています。こんな茶番につきあってくれるのは裏京都行ったメンツに限るだろうと個人的に思っています。
・裏行かなかった家は、呪いにもううんざりしていて「え、ビンタ? そんなんどうでもいいからもう解放してくださいマジで」っていう感じだと思います。そんな子たちに2世界はとてもとても(ry
・寄波登場シーンのセリフがある登場人物のとそっくりなのは、わ ざ と で す。
・最後のは某所で拝見した1一族の顔と性別取り違え疑惑をネタにしました。マジで女子がやたら凜々しいし男子はやたら可愛くなっちまってるし!地雷顔番号じゃなかったようなのがまだ救いだけど
・1一族の引き継ぎというシステムは、2黄川人のためのシステムじゃないかという疑惑。1一族は黄川人の黒歴史を2一族やコーちんに聞かせる役なんですよw今となっては笑える本人が恥ずかしい話的な感じで。もちろん手引きは昼子さんwww
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俺屍、グラムナートまでのアトリエシリーズ、オウガバトル(伝説・TO)などが好き。

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